世界の新しい目標「持続可能な開発目標(SDGs)」

2015年9月25日、ニューヨークで開催された国連総会「持続可能な開発に関するサミット」において、貧困、不平等・格差、気候変動のない持続可能な世界の実現に向けて、2030年までに目指すべき17の目標である「持続可能な開発目標(SDGs : Sustainable Development Goals)」が採択されました。途上国だけではなく、日本のような先進国も含む世界中の国々がこの目標の達成に向けて動き出しました。

持続可能な開発目標(SDGs)とセーブ・ザ・チルドレン

 

持続可能な開発目標(SDGs)は、「貧しい人々が取り残され、地球環境は悪化しており、このままでは世界が立ち行かない」という強い危機感のもと作られた目標です。経済発展だけを目指すのではなく、社会、環境、経済の3つの側面の全てにバランスが取れた形で対応し、さまざまな問題を生み出す根本的な原因に取り組み、今の世界の「変革」を目指すものになっています。

策定にあたっては、各国政府や国際機関のみならず、世界中の市民社会や研究者、企業など、多様なステークホルダーが約3年間におよぶプロセスに参加し、意見を投じてきました。セーブ・ザ・チルドレンも、すべての子どもの権利の実現の観点から、世界中のメンバーが連携し、国連の交渉の場および各国政府との対話や提言を通して、積極的に策定プロセスに関わってきました。SDGsのキーワードである「誰一人取り残さない」を実現するために、目標とターゲットが「社会のすべての部分で満たされるように」というアプローチは、セーブ・ザ・チルドレンを含む市民社会が粘り強く働きかけた結果、宣言文に盛り込まれました。

 

<ご活用ください>

■子ども・若者向けのハンドブック『私たちが目指す世界 子どものための「持続可能な開発目標」』日本語版(21㎝×21㎝、28ページ)

■SDGsの目標が一覧できるリーフレット(A4両面 二つ折り)

※ハンドブックとリーフレットは、当サイトから自由にダウンロード・印刷してご使用いただけます。

※上記ハンドブックの郵送をご希望の方は、サイト下部の「ハンドブック申し込みについて」をご参照ください。

 

■ 「持続可能な開発目標」が掲げる17の目標 ■

目標1:貧困をなくすこと 

~世界中の、あらゆる形の貧困を終わらせる~

グローバル目標1に掲げられているのは、あらゆる形態の貧困をなくすこと。1日1.25ドル以下の極度の貧困もあれば、日本でも、6人に1人の子どもが貧困であるとされているような、ある国や地域において暮らしていくのが困難な状況も貧困です。貧困とはまた、教育や仕事、食料、安全な水、病院、住居などの必要な物やサービスがない、あるいは受けられないことや、自分の意見を自由に言えないなど、自分のもっている本当の力を生かせないことも含まれます。

 

目標2:飢餓をなくすこと

~飢餓を終わらせ、栄養を改善し、持続可能な農業をすすめる~

2030年までに飢餓を終わらせ、子どもからお年寄りまですべての人たちが、栄養のある十分な食事をすることができるようにするのが目標2です。多くの子どもたちが、栄養不良が原因で命を落としている現状を変えることを目指しています。地域の環境や資源に日々の食事や生計を依存している人々にとっては、環境や生物多様性を守りながら農業の生産量を増やすことが、飢餓や栄養不足をなくすためにはとても大切です。そのために、種や作物、家畜の多様性や環境、資源を守る持続可能な農業を進めていくことも目指しています。

 

目標3:健康であること

~何歳であっても、健康で、安心して満足に暮らせるようにする~

目標3は、健康であること、病気を予防できること、適切な治療を受けられることが掲げられています。妊娠や出産の際に誰もが保健サービスを受けられて無事なお産をすること、幼い子どもが予防できる病気で命を落とすことがないようにすること、そして薬やワクチンを誰もが手にできることを目指しています。病気だけではなく、途上国で深刻な交通事故による死亡者・負傷者の数を半分に減らすこと、化学物質や大気・水質・土壌の汚染を減らしていくことも、この目標には含まれています。

 

目標4:質の高い教育

だれもが平等に質の高い教育を受けられるようにし、だれもが生涯にわたってあらゆる機会に学習できるようにする

目標4は教育についてです。だれもが無料で質の高い基礎教育、職業訓練を受けられること、そのために安全で通いやすい学校設備を整え、資格のある先生の数を増やすことなどが掲げられています。若者や大人がきちんと読み書き、計算ができるようにすること、また紛争・災害の状況下にあっても、子どもが教育を受けられるようにすることもとても大事であり、目標4の達成のために、こうした紛争・災害下における教育もきちんと取り組まれる必要があります。

目標5:ジェンダーの平等

~すべての人が性を理由に差別されないようにし、すべての女性や女の子に力を与える~

 目標5は、女性や女の子に対する性的人身取引を含むあらゆる種類の差別や暴力、搾取を、世界のどの場所においてもなくすことを目指しています。また、無報酬の育児・介護や家事労働をきちんと認識し、評価することや、女性や女の子が政治や経済活動の意思決定に平等に参加できること、妊娠と出産に関する女性の権利を守り、土地・財産などに関する女性の権利を確保するために法律やルールをつくりかえることも、目標として掲げています。女性の国会議員の比率がとても少ないなど、日本がこの目標達成に向けて改善すべきことは多くあります。

 

目標6:清潔な水と衛生

~水と衛生的な環境をきちんと管理して、だれもが安全な水と衛生的な環境を得られるようにする~

 すべての人が安全な水を使えるようにすること、安全な方法での下水処理やごみ処理などの衛生設備が整った環境で暮らせるようにすることを目指すのが目標6です。野外排泄をなくすこと、女性や女の子、脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払うこと、そして水質を管理することも掲げています。また、水不足は今後深刻化するといわれており、目標6は、水の再利用や利用効率の改善、コミュニティ参加による水資源管理や水に関する生態系の保護も目指しています。

 

目標7:再生可能エネルギー

~価格が安くて、安定して発電でき、持続可能で近代的なエネルギーをすべての人が使えるようにする~

 目標7は、すべての人が、電気やガスなどのより新しいエネルギーを、安い価格で使えるようにすることを目指しています。また、石油や石炭などのエネルギー源のみに頼ることがないよう、太陽の光や風、川を流れる水の力、海の潮の力など自然の力でつくる再生可能エネルギーの使用を大幅に増やすことも目標の一つです。さらに、2030年までに、世界全体でエネルギー効率を倍増させることも掲げています。

 

目標8:適切な良い仕事と経済成長

~自然資源が守られ、みんなが参加できる経済成長を進め、すべての人が働きがいのある人間らしい仕事をできるようにする~

目標8は、環境を悪化させることなく経済成長を進めることを目標としています。また、2030年までに、若者や障害者を含む、すべての女性と男性が、人間らしい働きがいのある仕事に就くことを目指しています。一方で、子どもの心身に害を及ぼす労働には厳しい姿勢で臨むことも明確にしています。人身取引、債務奴隷、子ども兵士、売春・ポルノなどの最悪の形態の児童労働を確実になくすための措置を迅速に実施し、2025年までにあらゆる形態の児童労働をなくすことを掲げています。

目標9:新しい技術とインフラ

~災害に強いインフラをつくり、みんなが参加できる持続可能な経済発展を進め、新しい技術を生み出しやすくする~

 目標9で掲げられているのは、環境破壊をもたらさず持続可能で、災害に強く、経済成長と同時に人々の健康で安全な暮らしに資するインフラの構築です。インフラには水道や鉄道、ガス・電気、インターネットなど様々な施設や設備、サービスが含まれますが、利用の際の価格を安くし、すべての人が平等に使用できることを目標は重視しています。また、経済発展を進めていく際に、特に途上国における小規模ビジネスへの貸付を増やすこと、企業が環境に配慮した技術や製造の工程などを取り入れることなども目指しています。

 

目標10:不平等を減らすこと

~国と国の間にある不平等や、国の中での不平等を減らす~

 目標10は、世界中の不平等・格差の解消を掲げています。一国内で貧しい人の収入を、そうではない人よりも早く増やしていくことや、特定のグループを差別するような法律や慣習をなくし、機会の平等を通して結果の不平等をなくしていくことを目指しています。また、先進国と途上国の間の不平等をなくすため、グローバルな金融の取引に対する規制や制度を強化することや、貿易において途上国に特別な配慮を行うこと、世界銀行などの国際金融機関の意思決定の際に、途上国の参加や発言力を拡大することなども、目標には含まれています。

 

目標11:持続可能なまちと地域社会

~まちや人々が住んでいるところを、だれもが受け入れられ、安全で、災害に強く、持続可能な場所にする~

 目標11は、すべての人が安全で住みやすい家や、水・電気などの必要なサービスを得られるようにし、スラムの状況を改善することを目指しています。住民のまちづくりへの参加を確保し、特に子どもや女性、障害者、高齢者にとって、安全で使いやすく、価格が安く、かつ環境に配慮した交通機関や公園などの公共スペースをつくることや、災害に強いまちや地域をつくること、大気汚染を防ぎ廃棄物を管理して都市の環境を改善すること、世界文化遺産・自然遺産を守ることも掲げています。

 

目標12:責任を持って消費すること

~持続可能な方法で生産し、消費する~

目標12は、すべての国が持続可能な消費と生産を行うための対策を進めること、一人当たりの食品廃棄物を世界全体で半分に減らすこと、化学物質が大気・水・土壌に流れ出すことを食い止めること、3R(ゴミを減らし、再利用し、資源化すること)を促進することを目指しています。また、大企業が持続可能な方法で事業を実施し情報を公開すること、国や自治体が環境に優しい物品やサービスを使用すること、そして人々が自然と調和した暮らしに関する知識を得られるようにすることなども、目標として掲げています。

目標13:気候変動への対策

~気候変動や、それによる影響を止めるために、すぐに行動を起こす~

 すべての国が、気候変動に対し迅速に取り組み、気候変動がもたらす危険や自然災害に対する備えを強化し、災害に強く、かつ災害から回復する力を高めることを目指すのが、目標13です。気候変動対策を、国家の政策や戦略、計画に組み込むことを掲げています。気候変動の原因となる温室効果ガス排出の減少、気候変動に伴う環境変化への適応やその影響の軽減について、人々が知識を得て能力を高め、きちんと制度を整えることが目標となっています。

 

目標14:海のいのちを守ること

~持続可能な開発のために、海や海の資源を守り、持続可能な方法で使用する~

 海の汚染の多くが、陸上の人間の活動が原因となっています。目標14は、そうした海の汚染をなくすこと、そして、海の生態系に対して大きく悪影響を与えることをなくし、健全で生産的な海の実現を目指します。また、乱獲や違法な漁業、海の環境を破壊する漁業のやり方を撤廃して取り締まり、科学的な情報に基づいた保全を実施することも掲げています。そして途上国や島しょ国が、海からの資源を持続可能な方法で利用し、そこから収入を得られるよう、支援することも明記しています。

 

目標15:陸のいのちを守ること

~陸の生態系を守り、再生し、持続可能な方法で利用する。生物多様性が失われることを防ぐ~

 目標15は、森林、湿地、産地、乾燥地、内陸にある淡水などにおける生態系を守ることを目指しています。森林をきちんと管理し、砂漠化に対処し、森林破壊や土地の劣化を防ぎ、再生させることを掲げています。また、絶滅危惧種を一刻も早く保護し、生物多様性が失われることを防ぎます。生態系と生物多様性を守るために、国や地域において計画を策定し、貧困対策にもそうした生態系保護を組み込み、地域の人々の持続可能な生計をサポートすることも明記しています。

 

目標16:平和で公正な社会

~平和でみんなが参加できる社会をつくり、すべての人が司法を利用でき、地域・国・世界のどのレベルにおいても、きちんと実行され、必要な説明がなされ、だれもが対象となる制度をつくる~

 世界中で、あらゆる暴力と暴力による死を大幅になくすことを掲げているのが目標16です。虐待、搾取、人身売買など、子どもに対するあらゆる暴力を完全になくすことも目指しています。政府や国の制度を公正にすること、すなわちだれでも平等に司法を利用でき、違法な資金の取引や武器取引、汚職を大幅に減らし、子どもや若者を含む人々の意見を聞いて意思決定をし、人々に対してきちんと説明ができる政府や制度にすることを掲げています。また、グローバルなレベルで何かを決定するときには、途上国の参加を拡大、強化していくことを目指します。

目標17:目標のために協力すること

~実施手段を強化し、持続可能な開発に向けて世界の国々が協力する~

とうとう最後の目標です。最後ですが、目標17はとても重要です。これまでの16の目標はどれも達成が望まれる目標ですが、実際に目標を達成するために、「世界の国々が協力して具体的に実施すること」について述べられているからです。すべての国が目標達成に向けて国の予算を使い、また先進国は途上国が目標を達成できるよう、必要な資金や技術を支援し、開発に資する貿易ルールを実施することを目指しています。また、目標達成に向けてどのくらい進捗しているかをみるために、データや統計をきちんと集めることも掲げられています。

 

※テキストは『私たちが目指す世界 子どものための「持続可能な開発目標」』日本語版から引用

 

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